普段使いの文章 生存確認用として

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あとで

それで野呂栄太郎が獄死したあとで、かれの遺命に従ってぼくが書いたのが『ミケルアンヂェロ』で、あれは伏せ字がないんだ。二字だけイタリア語を使った。それは「フィレンウェは陸軍なくして国を守り、ヴェネチアは海軍なくして繁栄した」というところだ。ちょうどいまの自衛隊と同じさ。国を守るのにすぐ軍隊と言うやつは、ルネサンス以前の思想だよ。フィレンツェにしてもヴェネチアにしても軍隊などはもたないで、世界を指導したのだ。結局、絶対王政によって侵略されてしまったが、しかし、ぼくは、平和を守って滅びるということは、国民の最大の名誉だと思っているんだ。
 こないだもTBSの吉永春子君にだまされて、「おはよう日本」の最後の「日本を考える」という討論に出たら、村松剛という若先生が、憲法は国民のためにあるので、国民が憲法のためにあるのじゃないなんて、ありゃなんていうか、ナンセンスというか、およそくだらないことを自民党中曾根康弘などといっしょになって言うんだ。どっちがどっちのためかなどと、何のことかわけのわからないことを言って国民を混乱させて、結局、憲法という一枚の紙が残って国民が滅びるというようなことになったらどうするんだ、なんてことを言って国民を脅かすから、オレはそういう国民になりたいやって言ってやったんだ。
 聖書にも書いてあるとおり、「われわれは年数において生きるのではなく、行為において生きるのだ」。日本民族が何千年生きたって、いまみたいに恥ずかしいことばかりやっているよりも、たとえ明日滅びるとしたって、あの憲法を守って滅びたということになれば、それこそ日本民族の永遠の光栄ではないか。オレはそういう国民の一人になりたい。日本国民がそれくらいの決意をもっていれば、現代の世界のどの国が日本を侵略して日本を滅ぼすことができるか。そういう決意こそがほんとうに国を守るものなのだ。佐藤栄作みたいに、国を守ると言えば軍備のことだといって、一台二十億円もするFXなんてあやしげなものをアメリカから売りつけられて、それで三菱重工業などの大企業をもうけさせて自民党の政治資金を稼いで、保育所の予算を削ったり、大学などに金を出さないで口ばかりだしているなどという遅れた観念は、ルネッサンス以前だよ。